読書日記(1/23-1/30)

1/23

最近、睡眠を改善するため湯船につかっている。ただ座っているのも暇なので本を読むことが多い。ここ数日は『半沢直樹 アルルカンと道化師』(池井戸潤)を読んでいた。半沢直樹シリーズの第五弾ということだが、前巻を読んでいなくてもついていけると聞いたので手に取ってみた。ドラマ化もされた有名作品なので、銀行を舞台に半沢直樹というキャラクターが活躍する話だとはなんとなく知っていたのだが、『アルルカンと道化師』は思いのほかミステリ要素が強くておもしろかった。後書きを読む限り他の巻はあまりそういった要素がなく、権力闘争が中心らしい。ちょっと残念。

1/24

語ること・言葉にすることには大きな力がある。経験してきたことに名前をつけて自分自身に・誰かに語りかけることから、傷ついた自分のケアや社会運動は始まるのではないだろうか。『みんなの宗教2世問題』(編 横道誠)の第一章は、統一教会エホバの証人創価学会といった宗教団体(一部マルチ商法)の2世たちの語りで構成されている。親から強制される信仰とそこから生じる軋轢、教団や家庭での暴力。ようやく団体から離れても社会にはなじみにくい。重なる部分もありつつ個別の体験をしてきた2世の方たちの声の力強さに引きずられるようにして一気に読んだ。一方で、たしかに2世たちの語りには引きつけられるが、(本書でも触れられているように)その語りを一過性のものとしてセンセーショナルに消費してはならない。力強くも重い言葉を聞いた第三者や社会には、それに応答する責任があると思う。

 

1/27

前から探していた『かわいいピンクの竜になる』(川野芽生)を見かけたので買う。ロリィタをはじめとする様々なファッションアイテムの描写にうっとりしつつ、「ロリィタは無遠慮な他者からの消費と侵害、無神経な世界への迎合を徹底的に拒絶するファッションである(そしてもちろん誰がどんな服を着ていようと同意なく他者から侵害されることはあってはならない)」、という透徹した姿勢にめちゃくちゃ頷きながら読んだ。

今はそうでもないのだが、一時期私もロリィタが気になっていた。図書館のリサイクル本コーナーでたまたま手に取った『鱗姫』を読んでから嶽本野ばらの作品にはまって、そこでMILKやCOMME des GARCONS、Jane Marple、BABY, THE STARS SHINE BRIGHTなどさまざまなブランド、ひいてはロリィタに出会った。今考えると、私が平均より服好きなのは嶽本野ばら作品の影響なのかもしれない。

高校生のとき、学校から数駅離れた街にあったBABY, THE STARS SHINE BRIGHTに一度行ったことがある。ロリィタ服は16,7歳にとってなかなか手を出せない価格だったが、きらびやかな店内の香りを少しでも持ち帰りたくて、ふんだんにレースがあしらわれたワインレッドのリボンバレッタを購入した記憶がある。合わせる服がなかったので外につけて出たことは結局なかったけど、見るたびにうれしかった。あれはいい買い物だったな。

 

1/28

漫画アプリで『もやしもん』を読みすすめている。博士課程の優秀な院生で、女性ジェンダーで、いつも自分の好きなボンデージファッションを着ている長谷川遥さん、憧れるしかないよね。『動物のお医者さん』の菱沼さんにも通じるものがある。

 

1/30

理瀬シリーズの最新巻『夜明けの花園』(恩田陸)が出ていたのでさっそく買ってきた。あまり見ない小ぶりなハードカバーで、北見隆の装画が美しい。相変わらず不穏な空気がただよいつつ、『麦の海に沈む果実』の前日譚とも言える「丘をゆく船」は爽やさもあって好きだった。その後に起きる出来事を思い起こすとその爽やかな希望さえ痛ましく思えてくるけど。