読書日記(4/2-4/20)

最近読む本のジャンルや傾向が固定されつつあります。自分で選ばないような本も読みたいなーと思うので、もしよければおすすめの本を教えてください。時間はかかるかもしれませんが読んで読書日記に書きます。

moyoにマシュマロを投げる | マシュマロ

4/2

ホラー好きの怖がりなので、ホラー小説や漫画を読むたび夜にトイレや風呂に入るのが怖くなって後悔することになる。澤村伊智の比嘉姉妹シリーズ最新作『さえづちの眼』も、読んでからしばらく一人でいることが心許なくなった。「あの日の光は今も」「母と」「さえづちの眼」という3つの中編が収録されているのだが、どれも家族(家父長制)や母であることの「怖さ」と怪異やUFOなどの「怖さ」が渾然一体となっていておもしろかった。人々が何を怖いと思うか、何が怪異とされるかはかなり社会的な文脈に影響されると思うのだけど(有名な女の幽霊はわりといるけど、有名な男の幽霊はあまりいない気がする?)、澤村伊智はそれをかなり意識的に扱っている気がして興味深い。

4/9

蜂の巣箱の蓋だったタイルや花嫁を乗せるラクダに飾るはずだった鮮やかな紐など、生活に根ざした物語を持つ民芸品が登場する『アリババの猫がきいている』。民芸品は佇まいや色形からして魅力的な一方、もともとどこでどのように作られて使われていたのかを知ろうともしない姿勢は、民芸品を生み出した文化や生活を簒奪することにもなりかねないなと思った。

数々の民芸品の中でも特にアフガニスタンのヘラートで作られている吹きガラスが印象的だった。ヘラートグラスの色は無色〜濃紺が多く、気泡が入っていて少しいびつな形はひとつひとつ違っており、見ていて飽きない。直に触ったことはないものの、いびつな線はよく手になじみそうだ。ヘラートグラスは作り手や需要の問題で作るのが難しくなっているそうだが、いつか目の前で見て触ってみたい。

4/16

絶対にこれを必要とする人がいるな、とわかる物語がある。『かがみの孤城』はまさにそんな本だった。避難所としての孤城と、帰っていかなければならないきつい現実。(つらさは比較するものでもないが)特にあるキャラクターの現実には、「前向きな気持ち」などで乗り越えられるようなものではない過酷さがある。物語ができることと、その限界が明示的に描かれていた。

4/17

最近西洋占星術に興味がある。心から占いが事実と整合的であると思っているわけではないのだが、どこかで心持ちや行動の指針にしている節がある。占いのようなスピリチュアリティは、科学的な根拠はないものの人を信じさせる(こともある)パワーを持っている。『ポップ・スピリチュアリティ メディア化された宗教性』は、主に江原啓之の事例を中心にメディアにおけるスピリチュアリティのあり方とその受容のされ方について書かれていておもしろく読んだ。スピリチュアリティだと、この前読んだ『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』もおもしろかった。

4/20

「子はかすがい」、「結婚前に遊んでいた人ほど結婚したら落ち着く」など、不倫に関する俗説は多い。例えば「子はかすがい」は、たしかに子どもがいれば簡単に家族を崩壊させるような行為はできないだろうという気もするのでなんとなくあっている気もする。実際はどうなんだ?というところを扱っているのが『不倫ー実証分析が示す全貌』だ。不倫というトピック自体キャッチーだし帯もそのキャッチーさを存分にアピールしているのだが、決して軽薄な内容ではなくアンケートを元に不倫の実態を分析している(ちなみに「子はかすがい」を裏付けるような結果はなかったらしい)。補論で因果推論や仮説検定などについて触れているし引用文献も細かく紹介されているので、他の社会現象を分析する際の参考にもなりそう。